哲学,科学,青空文庫

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 本書『科学の不思議』の著者は、アンリ・ファーブル。『昆虫記』で有名な、あのファーブルである。内容はその著者や表題から想像できるとおりで、少年少女向けに、さまざまな科学上の疑問に答えてゆくというもの。  しかし、ここで注目したいのは、本書の訳者である。大杉 ...

文学,歴史

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 記念すべき100件目の記事は、この作品で。が、とにかく長かった。海外の小説では、ドストエフスキーにせよ、トルストイにせよ、長い小説に事欠かず、「プルーストの『失われた時を求めて』を読んで時が失われた」という笑い話があるくらいだが、日本の小説はそうではない ...

文学,言語,青空文庫

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 本作『猫町』の作者である萩原朔太郎は、言うまでもなく(当時としては前衛の)詩人である。詩人ではあるが、数は多くはないものの小説や随筆も書いている。それが珍しくて本作を手にしたのだが、本の薄さ(その薄い文庫本に18編が採録されている)の割には中身は濃厚とい ...

哲学,ノンフィクション

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 本書『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』は、まさに「数奇な運命を辿った本」についての本である。その本とは、紀元前一世紀に生きたルクレティウスの手になる、原子論的自然学を説いた『物の本質について』。この本自体が大変な珍本で、近代科学につながる物質や宇宙 ...

哲学

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 最初のころに書いたことがあるが、管理人は他人から本を借りることはしない。特に、友人や知人の方から貸そうとしてくるのを借りるのは禁物だ。興味が持てるかどうか分からない本を無理してでも読まなければならなくなるし、返す時に感想の一つも言わなければならない。義務 ...

文学,ハウツー

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 本書『読んでいない本について堂々と語る方法』は、誤解されそうな題名がついているが、読んでもいない本について知ったかぶりをするとか、読んでいない本について読書感想文を書くとかといった本ではない(それにも使えそうではあるが)。本を読むより自分自身を語ることの ...

文学,青空文庫

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 本作『平凡』の作者は、言文一致と写実主義で知られる二葉亭四迷である。本作は実際はフィクションなのだが、冒頭で「近頃は自然主義とか云って、何でも作者の経験した愚にも附かぬ事を、聊かも技巧を加えず、有の儘に、だらだらと、牛の涎のように書くのが流行るそうだ。好 ...

哲学

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 著者が仮に「ポストモダニズム」と呼ぶ哲学がある。著者の説明によれば、啓蒙主義の合理主義的伝統を多少なりともあからさまに拒否すること、経験に照らし合わせての検証とは結びつかない論考、そして認識的相対主義や文化的相対主義を標榜して科学を数ある「物語」、「神話 ...

文学,心理,青空文庫

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 本作『三右衛門の罪』は芥川龍之介の短編。十ページ少々の作品である。それほど有名ではないかも知れないが、一点に絞ったテーマに、実に考えさせられるところがある。梗概を書けば数行で足りるだろうし、知ってしまえば初めから分かっていたような気にもなるのだが、人の心 ...

文学

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 管理人が本作『走れメロス』を初めて読んだのは、小学校の国語の教科書だったのではないかと思う。なぜ(太宰の他の作品を差し置いて本作が)教科書に載るかと言えば、信頼の尊さを貴ぶ内容が、国語というよりは道徳の教材として優れているという見立てなのだろう。そういう ...