実はそれほど信用できない『写真の読み方』
写真はそれほど信用できるものではない。加工による偽造が出来てしまういう話ではない。写っているもの自体は正しくても、写真の「意味」はおいそれと信用できないということだ。写真は「真」を「写」すと書くが、それはいつかどこかでそのような一瞬があった、というだけの ...
忠臣蔵は忠義の物語にあらず『忠臣藏とは何か』
忠臣蔵というものが分からなかった。端的に、たかだか主人の名誉くらいの話で生命を投げ出すなどというのは気が知れないということだ。史実としてのそれ(赤穂事件)や成立期の芝居としてのそれは江戸時代の話だから古い時代の話と割り切れたが、現代人までが年の瀬ともなる ...
スポーツ賭博から厚底シューズまで『スポーツルールの社会学』
本書『スポーツルールの社会学』は題名どおり、スポーツの歴史や社会との関わりを主にルールの側面から俯瞰した小著である。近年のスポーツの変質を嘆くあまり、妙なところに力こぶが入っているところもあるが、興味深い話が幾つも出ている。少し古くなってしまっていて、最 ...
読書と騒音④ 生涯読書時間が最も長い喫茶店
読書と騒音の4回目。自宅が意外に読書に向かないかも知れないということで、外に出てみる。その初回は喫茶店、ファミレスなども同じカテゴリに入れてよいだろう。実際のところ、メモをとったりするのでない、普通の読書が一番捗るのは喫茶店ではなかろうか。おそらく管理人 ...
権利と価値との衝突『「レンブラント」でダーツ遊びとは』
本書『「レンブラント」でダーツ遊びとは』は、文化的遺産について、権利と価値あるいは価値と価値が衝突する場合、これをいかに調整するかという課題に取り組んだものである。ショッキングな本書の題名は、それを端的に表している。レンブラントの絵画、例えば「夜警」であ ...
読書と騒音③ 読書を妨げる意外な敵
自宅にいる場合の読書の大敵は電車と飛行機の騒音で、これを第1回と第2回で扱った。しかし、これらの騒音は音量としては大きいが、気を散らせるという意味ではもっと問題になる騒音もある。今回はこれらをまとめて採り上げて、自宅での騒音の完結編としたい。 ベランダの ...
凡俗と稀代の音楽家をめぐる言葉の洪水『ジャン・クリストフ』
本作『ジャン・クリストフ』は、ノーベル文学賞も受賞したロマン・ローランの代表作。主人公のクリストフは、べートーヴェンがモデルになっているらしい。作者には、『ベートーヴェンの生涯』という伝記作品もあり、そちらの方は当然のことながら、才能と栄光とに包まれてい ...
読書と騒音② 羽田新ルートの飛行機騒音
読書のためには、それなりの環境を整えることが必要だ、ということで始めた「読書と騒音」シリーズの第2回。今回は、前回の電車騒音からアップグレードして飛行機騒音である。電車騒音が最大でも80db程度であるのに対して、飛行機騒音は最大で100dbに迫る強敵。飛 ...
名画を説く絵画のような文章『名画を見る眼』
本書『名画を見る眼』は、岩波新書で正続二巻。続編中の一編に驚いたので紹介したい。著者の高階秀爾氏の本は以前にも取り上げたのだが、その時の本のテーマは著者の専門外の日本の美。今回のは専門中の専門である西洋美術。本書は、著者が西洋の名画を一点10頁くらいで、 ...
読書と騒音① 電車騒音は運よくクリア
読書のためには、それなりの環境を整えることが必要である。中でも重要なのが、どうやって騒音を避けるかである。特に管理人は、それでなくても気が散るタチなので、ずっと気に掛けてきた。ただ、騒音は外から問答無用で入ってくるものだから、対策を立てようにも限界がある ...