人も組織も誤らせるバイアスの異母兄弟『NOISE』
本ブログで最初にレビューした『ファスト&スロー』で有名な行動経済学者ダニエル・カーネマンらの新著。人の判断のばらつき、すなわち『ノイズ』に特化した大冊である。判断誤りのうち、正しい値からのズレ、すなわち「バイアス」は目につきやすく、直すことは容易でないと ...
認知のアーティファクトの未来予測『人を賢くする道具』
未来予測というものは、大抵は外れる。それも、何か別の対象を予測していたのかというくらいに外れる。しかし、それは未来は想像もつかないくらいに開けていることを示していると考えれば、まんざら悪いばかりでもないかも知れない。本書『人を賢くする道具』は、未来予測の ...
超絶AIと意味のない世界『スーパーインテリジェンス』
AIが進化している。いろいろと人間脳の制約を引きずる全能エミュレーションなどと異なり、機械的なAIはいかに困難で時間がかかるとしても、シンギュラリティのレベルに達することに原理的な制約は見当たらない。そして、いったん軌道に乗りさえすれば、再帰的に自身の能 ...
チェス・将棋・囲碁でのAIへの敗れ方『われ敗れたり』
伝統的なボードゲームのすべてで、人間はAIの前に屈してしまった。その順番は、盤の小さい順で、チェス、将棋、囲碁、である。本書『われ敗れたり』は、2012年1月、人間が将棋AIに屈する前後、当時日本将棋連盟会長であった米長邦雄永世棋聖が、自ら将棋AIボンク ...
苦悩するハードウェア脳『全脳エミュレーションの時代』
AIが本当にシンギュラリティに到達したら、どうなるのだろうか。AIが人間を滅ぼして人間にとって代わるのだろうか。AIが地球(あるいは地球外)に独自のコミュニティを作って、新たな「生命体」として繁栄するのだろうか。たいへん興味深く、また恐ろしい話でもあるが ...
ビッグデータを超える『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』
ビッグデータが流行りである。世間では、データさえあれば何でもできる、というような風潮がある。しかし、本書『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』は、違うと言う。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う。特に、ある広告を打ったことで ...
シンギュラリティより怖いもの『AIvs.教科書が読めない子どもたち』
本書『AIvs.教科書が読めない子どもたち』の著者は、数学者。AIで東大合格を目指した「東ロボくん」プロジェクトのリーダーにして、読解力調査のためのリーディングスキルテストの産みの親だ。一見すると、AIと読解力はあまり接点がないように見えるが、本書でその ...
電子書籍の得失 - その最大の問題点は「全焼」
管理人は、海外のサービスが日本に入り出したころから、電子書籍(具体的にはKindle)を利用している。当初は少し抵抗があったものの、慣れてしまえば便利なことは確かだ。電車の中や空き時間にスマホで「ちょい読み」するとか、キーワードで全文検索するとか、電子書 ...
AIの遠い祖先『謎のチェス指し人形「ターク」』
IBM製のチェス・コンピュータ「ディープ・ブルー」が人間界のチェスの世界チャンピオンであったカスパロフを破ったのは、21世紀も間近の1997年のことである。それ以前、本当の意味で機械と人間が知的競争を始めたのはごく近年のことであるが、本書『謎のチェス指し ...