心理,経済,IT

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 本ブログで最初にレビューした『ファスト&スロー』で有名な行動経済学者ダニエル・カーネマンらの新著。人の判断のばらつき、すなわち『ノイズ』に特化した大冊である。判断誤りのうち、正しい値からのズレ、すなわち「バイアス」は目につきやすく、直すことは容易でないと ...

文学,青空文庫

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 著者である久生十蘭の作品を読んだのは、本書『母子像』が初めてである。「小説の魔術師」などと呼ばれていて興味があったので、まず手始めにということで、手軽に読める短編、それも世界短篇小説コンクールで第一席を獲得という本作を手に取った。サイパン陥落に関係してい ...

心理,ノンフィクション

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 本書『妻を帽子とまちがえた男』は、脳神経科医である著者の初期のノンフィクション作品である。表題のとおり、たいへん奇妙な症状を持った患者がたくさん登場するのだが、単なる医学的な報告ではなく(多少は説明されているが)、人間や人生についての考察だ。登場する患者 ...

言語,社会

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 本書『思考と行動における言語』は、日系アメリカ人の著者による一般意味論の古典的名著。言語本ではあるが、言語をいかにうまく操るかではなく、いかに言語に操られないようにするか、というところに焦点を当てている。それが「思考と行動における」の意味するところだ。本 ...

哲学,文学,青空文庫

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 本作『かのように』は、妙な題名であるが、まさに題名どおりの問題をテーマにした「哲学小説」ともいうべき森鴎外の作品である。筋そのものは、洋行後に歴史家になろうとしている主人公が、学問上のスポンサーである子爵たる父親との間で思想上の衝突を避けるにはどうしたら ...

心理,数理

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 本書『数学における発明の心理』は、読んで字のごとくの心理を扱うものではなく、高度の数学的課題がまるで考えていない時に解けた、あるいは夢の中で解けた、という類の一見すると常識に反するような数学的発明(発見)の心理に関するパイオニアのような本である。原著の出 ...

文学

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 本書『百年の孤独』は、南米コロンビアのノーベル文学賞受賞作家ガルシア・マルケスの代表作。本作が受賞の決定打になったことは疑いないが、いかにも特異な作品である。受賞理由は「現実的なものと幻想的なものを結び合わせて、一つの大陸の生と葛藤の実相を反映する、豊か ...

哲学,文学,青空文庫

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 本書『論語物語』は、『次郎物語』で有名な著者の下村湖人が、『論語』の主な教えを同じ登場人物で物語風に再構成して見せたもの。『論語』の精神が分かりやすく示されていて、オリジナルの『論語』やその解説を読んだだけではいま一つピンとこないところが生き生きと描かれ ...

心理,ハウツー

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 自宅にいる場合の読書の大敵は電車と飛行機の騒音で、これを第1回と第2回で扱った。しかし、これらの騒音は音量としては大きいが、気を散らせるという意味ではもっと問題になる騒音もある。今回はこれらをまとめて採り上げて、自宅での騒音の完結編としたい。 ベランダの ...

言語

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 手持ちの岩波新書は古いものが多いが、300冊くらいあるだろうか。今でこそ普通の新書という感じの岩波新書も、昔は少々格が高かったと思う。実際、古典的な価値を認められて岩波文庫に格上げされたものもあったはずである。そこで、しばらく離れていたものを再読しようと ...