文学

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 本書『罰せられざる悪徳・読書』は、蔵書2万5千冊という読書人である著者が、理想の読書について語ったものである。タイトルは、冒頭で引用されているアメリカの詩人の散文詩から採られたもの。訳者の解説によると著者のお気に入りで他書の表題にも使われているらしい。訳 ...

文学

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 本作『悲しみよ こんにちは』は、著者サガンのデビュー作、そしておそらく最も読まれた代表作だろう。と言うよりは、華々しいデビュー作の後はそれほど振るわなかったというのが実際のところかも知れない。本作にしても、少々刺激的な作品の主人公と、18歳という若さの女 ...

文学,青空文庫

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 本作『或る女』は、有島武郎の長編小説。主人公である葉子は、非常に現代的かつ蠱惑的な女であって、倉地、木村はもとより、作中で名前が挙がるほどの男は皆、彼女の虜になってしまう。小説でそう創られているのだからそうだというしかないのだが、そんな女が実際どれほどい ...

文学

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 本作『方舟さくら丸』は、安部公房の作品としては、特に有名な方ではないかも知れないが、管理人にとっては、他の作品と同じかそれ以上に惹かれる作品だ。本作は、主人公が地下採石場跡の巨大な洞窟に核シェルターの設備を造り上げ、そこで仲間との共同生活を始めたものの… ...

文学,社会

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 本作『夜の来訪者』は、ジャーナリストや批評家として活動したほか、社会運動にも積極的であったプリーストリーの戯曲。社会主義的色彩が濃厚な作品である。あらすじは、娘の婚約を祝う団らん中の一家のもとを、捜査中の警部を名乗る男が訪れる(夜の来訪者)。若い女性が自 ...

文学,青空文庫

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 本作『五重塔』は、以前に言葉の問題で取り上げたことがあるが、小説の内容についてもレビューしておこう。小説としては露伴の代表作の一つで、新旧の二度、映画化もされている。なるほど、登場人物の個性、その心理描写、いくつかの「事件」、そして五重塔をめぐる分かりや ...

文学

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 本作『わたしを離さないで』は、ノーベル文学賞を受賞した作者カズオ・イシグロの代表作の一つである。映画化もされ(管理人は見ていないが)、その特異な背景設定も手伝って、受賞の前も後もかなりの話題となった。ある意味、不思議な読後感のある作品である。  本作の特 ...

心理,社会

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 世界ではテロ的なことが頻繁に起きている。日本でも多少方向性は違うが無差別殺人のようなことがたまに起こる。そこまで行き着かなくとも、理不尽な負のエネルギーが他人に向けられることは少なくない。こうした行為に、人格異常とか身勝手の極みとかレッテルを貼ることは易 ...

文学,ノンフィクション

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 本作『人民は弱し 官吏は強し』の作者は星新一、言わずと知れたショート・ショートの名手である。しかし、本作はショート・ショートではなく、父親である星一氏(以降、「星氏」は一氏の方を指す)の事業の成功と挫折を描いた伝記小説的ノンフィクションである。管理人は本 ...

心理,社会

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 本書『社会はなぜ左と右にわかれるのか』は、最近読んだ本の中で最も有益なものの一つだった。本書はもともと、政治的リベラルであった著者の、なぜ(アメリカの政治において)リベラル派は保守派に負け続けているのか、という問題意識に端を発している。それを、著者の専門 ...