保守主義とは「アンチ主義」であった『保守主義とは何か』
保守主義というのは、何となく理解できるようでいて、実は良く分からない。伝統ガチガチの保守派も、反動的な右派も、新自由主義も、一緒くたに保守の範疇で語られることがあるが、共通項が希薄であるように見える。 以前にレビューした『社会はなぜ左と右にわかれるのか ...
いまだ解読されない奇書の横綱『ヴォイニッチ写本の謎』
奇書や珍本の類ということで言えば、この本を外してはいけないだろう。「この本」とは、本書で扱われている「ヴォイニッチ写本」のことである。「写本」は、書かれた内容はおろか、時代も、目的も不明な全246頁の総天然色絵入り本である。本書『ヴォイニッチ写本の謎』は ...
社会モデル考察の土台づくり『社会科学のためのモデル入門』
本書『社会科学のためのモデル入門』はその昔、「モデル」という点に着目して買ったのだったが、内容的には学部レベルの経済学の入門書というところ。それほど難しくない話をページを割いてとにかく丁寧に丁寧に説明し、そして考えさせる、アメリカの教科書に良くあるスタイ ...
政治家に問う自覚と責任『職業としての政治』
少し以前、人気ジャーナリストであるI氏が、与党の二世議員であるK氏に「マックス・ウェーバーの『職業としての政治』についてどう思うか」という質問をしていた。自分はしっかり予習しておいて、おそらくは読んでいないか忘れてしまっているかの相手に質問するのだから、 ...
超俗人の俗世界での闘い『ピープス氏の秘められた日記』
このブログには本のジャンルに対応したタグが15個あるが、本書『ピープス氏の秘められた日記』にはどれを付けたら良いのか悩ましい。とりあえず、当時の歴史が分かるから「歴史」と付けてみたが、いわゆる歴史本ではない。日記文学というのもあるから「文学」も入れてみた ...
「夜警国家」ならぬ「夜警メディア」はいかが『誤報』
本書『誤報』は、タイトルそのまま、マス・メディア(主に新聞)の誤報に焦点を当て、その原因と過程を分析・検証したもの。著者自身がかつて悩まされ、また他に迷惑もかけてきた誤報についての著者なりの総括である。その著者は朝日新聞の元記者。誤報の例は各新聞から採ら ...
近代日本の『夜明け前』の激動期を生きた「人」と「家」と「故郷」
記念すべき100件目の記事は、この作品で。が、とにかく長かった。海外の小説では、ドストエフスキーにせよ、トルストイにせよ、長い小説に事欠かず、「プルーストの『失われた時を求めて』を読んで時が失われた」という笑い話があるくらいだが、日本の小説はそうではない ...
本の力、思想の力『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』
本書『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』は、まさに「数奇な運命を辿った本」についての本である。その本とは、紀元前一世紀に生きたルクレティウスの手になる、原子論的自然学を説いた『物の本質について』。この本自体が大変な珍本で、近代科学につながる物質や宇宙 ...
鉄道は読書の空間と時間をも生み出した『鉄道旅行の歴史』
読書は電車の中で捗る。通勤電車の中の15分ですら、なかなか貴重だ。旅行の予定でもあれば、移動時に読む本をあらかじめ仕込んでおく。さらに時間が増える飛行機はなお良しで、管理人は機内配信のビデオなど見たことがない。こういう感覚は当たり前に思えるのだが、当然、 ...
まだ独立はしていないハイパー民主主義国家『謎の独立国家ソマリランド』
本書『謎の独立国家ソマリランド』は、出版された2013年にノンフィクション部門の出版賞を総なめにした超ベストセラー本である。帯にも「三冠制覇!」などと書かれている。そういう本はわざわざ紹介するまでもないのだが、本書はやはりそれに値する。ということで、少し ...