40年後の自己吟味『記録・沖縄「集団自決」裁判』
本書『記録・沖縄「集団自決」裁判』は、太平洋戦争中に沖縄で起きたいわゆる「集団自決」についての『沖縄ノート』の記述に関して、元軍人とその親族(原告)が出版社である岩波書店と著者である大江健三郎氏(被告)を訴えた民事訴訟の、被告側からの記録である。元軍人が ...
事実に基づいて世界を見る『FACTFULLNESS(ファクトフルネス)』
情報が溢れる世の中になったが、現在の世界の状況と我々の抱いているイメージがいかに乖離しているのか、分からせてくれるのが、本書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』だ。例えば、「低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?」、「世界中 ...
功罪相半ばする驚くべき本『服従の心理』
またくもって、驚くべき本。功罪相半ばする、驚くべき本。 驚きその一は「功」、すなわち本書『服従の心理』が扱っている実験の結果。後に「アイヒマン実験」とも言われた実験で、ごく普通の善良な人々の大多数が、科学者による心理実験を装った服従環境の下、被験者に致 ...
電子書籍の得失 - その最大の問題点は「全焼」
管理人は、海外のサービスが日本に入り出したころから、電子書籍(具体的にはKindle)を利用している。当初は少し抵抗があったものの、慣れてしまえば便利なことは確かだ。電車の中や空き時間にスマホで「ちょい読み」するとか、キーワードで全文検索するとか、電子書 ...
生活を覆い尽くす小社会『怒りの葡萄』
本書『怒りの葡萄』は、オクラホマの大平原を砂嵐が襲い、耕地は荒野と化してしまう、農民達は「約束の地」であるはずのカリフォルニアの沃野を目指すが、ようやく辿り着いたカリフォルニアでも……という物語。作者スタインベックの代表作の一つである。作中、主人公のトム ...
常識を覆すゲノム革命の力『交雑する人類』
本書『交雑する人類』は、ネアンデルタール人のDNA解析にも携わった古代DNA解析の第一人者の手による新たな人類史である。その中心には、これまでの考古学や人類学の定説を覆す成果を出し続けている「ゲノム革命」がある。とにかく、本書を通じて、うるさいくらいに「 ...
AIの遠い祖先『謎のチェス指し人形「ターク」』
IBM製のチェス・コンピュータ「ディープ・ブルー」が人間界のチェスの世界チャンピオンであったカスパロフを破ったのは、21世紀も間近の1997年のことである。それ以前、本当の意味で機械と人間が知的競争を始めたのはごく近年のことであるが、本書『謎のチェス指し ...
真実へのアンチ・テーゼ『嘘の効用』
本書『嘘の効用』は、戦後改革にも携わった法学の大家が書いたもの。裁判での「嘘も方便」から話が展開してゆく。裁判では、法律に事実をあてはめて判決を導く。「法律×事実=判決」である。ここは譲れない。ところが、法律が硬直化していて実情に合わないような場合、審理 ...
ノーベル経済学賞受賞の心理学者が書いた『ファスト&スロー』
管理人は、リアルの世界で他人に本を勧めることはしない。その本に興味がなければどうせ読まないだろうし、興味があれば要らぬお節介だからだ。実際、たまにしか本を読まない人が、たまに読んだ本に入れあげて「これは良い本だから読んでみて」などと押し貸ししてくることが ...