原爆投下を論理で考える『戦争論理学』
戦争に論理はあるのだろうか。戦略や戦術はあるかも知れないが、論理とは縁がなさそうに思える。そういう思い込みがあるから、本書『戦争論理学』のタイトルは目を引く。しかし、戦争という歴史的事実について論理的に議論することはできるし、またすべきでもある。本書は、 ...
ご都合主義の生態系観に異議あり『自然はそんなにヤワじゃない』
以前にレビューした『チェンジング・ブルー』が気候変動についての正統派の一冊だとすれば、本書『自然はそんなにヤワじゃない』は生態系についての異端の一冊だ。「異端」と言っても、荒唐無稽な主張が展開されているわけではない。著者の専門である陸水生態学での成果を踏 ...
専門家と一般人との間の深い溝『専門知は、もういらないのか』
かつては一部の特権階級の独占物であった専門知は今や一般大衆に開かれた、はずであったが、実際にはそうはならなかった。むしろ、専門知や専門家を軽視する風潮が生まれ、専門知が支えるべき民主主義を危機に陥れている。本書『専門知は、もういらないのか』は、そうした実 ...
ビッグデータを超える『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』
ビッグデータが流行りである。世間では、データさえあれば何でもできる、というような風潮がある。しかし、本書『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』は、違うと言う。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う。特に、ある広告を打ったことで ...
版画のオリジナリティとは『広重「東海道五十三次」の秘密』
浮世絵版画「東海道五十三次」と言えば、歌川広重の代表作、自身が京都御所への公式派遣団の一人として東海道を旅した時のスケッチを基に1833年に制作された、というのが定説である。これに対し、本書『広重「東海道五十三次」の秘密』は、驚きの新説を持ち出す。「五十 ...
進化的ミスマッチが病を引き起こす『人体600万年史』
人間の人間たる所以は、発達した脳による高度の精神能力にある、というのは確かにそのとおりだろう。本書『人体600万年史』も、人間を「きわめて文化的な種」と位置づけている。しかし、同時に「筋肉に対する脳の勝利という見方だけで現生人類の進化を捉えるのは不正確で ...
『実践 行動経済学』で何をどう「ナッジ」すべきか
経済行動を心理学的手法を用いて研究するのが、行動経済学。本書『実践 行動経済学』は、この分野の権威であるリチャード・セイラー(ノーベル経済学賞受賞)と、法制度の専門家であるキャス・サンスティーンによる、行動経済学とその応用についての一般向け概説書である。 ...
「美」そのものを見抜けるか『にせもの美術史』
本書『にせもの美術史』は、美術品の贋作者とそれに騙される蒐集家、そして見破ろうとする鑑定家の対決を描いたものだ。現代は贋作の黄金時代だそうで、著者が5万点に及ぶ美術品を調べた結果、その40パーセントが偽物あるいは偽物同然という代物だったという。 贋作者 ...
明治の仏僧が記した日本の奇書『チベット旅行記』
「日本の奇書」をインターネットで検索すると、『ドグラ・マグラ』のような推理小説が出てくるが、本書『チベット旅行記』の方がずっと「奇書」に値する。と言うか、本書はれっきとしたノンフィクションだから、書かれている内容つまり事実そのものが「奇」なのである。 「 ...
シェイクスピアは誰なのか『謎ときシェイクスピア』
本書『謎ときシェイクスピア』は、シェイクスピアが誰なのかを探った謎解き本である。もちろん、シェイクスピアはシェイクスピアに決まっているのだが、長年「本人」とされてきた劇団の一役者シェイクスピアは隠れ蓑で、実際の文豪シェイクスピアは別の人物に違いない、とい ...