なぜ西洋で科学で発展したのか『新しい科学論』
ルネサンス期以降、ヨーロッパで近代自然科学が発展した、というのは一つの常識である。それ以前、古代中国やアラビアでも相当な科学(あるいは技術)が発達したことはあったが、その地で現代の科学につながるものとはならなかった。 では、なぜヨーロッパだったのか。本 ...
40年後の自己吟味『記録・沖縄「集団自決」裁判』
本書『記録・沖縄「集団自決」裁判』は、太平洋戦争中に沖縄で起きたいわゆる「集団自決」についての『沖縄ノート』の記述に関して、元軍人とその親族(原告)が出版社である岩波書店と著者である大江健三郎氏(被告)を訴えた民事訴訟の、被告側からの記録である。元軍人が ...
事実に基づいて世界を見る『FACTFULLNESS(ファクトフルネス)』
情報が溢れる世の中になったが、現在の世界の状況と我々の抱いているイメージがいかに乖離しているのか、分からせてくれるのが、本書『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』だ。例えば、「低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう?」、「世界中 ...
西洋美術の碩学が問う『日本人にとって美しさとは何か』
本書『日本人にとって美しさとは何か』は、絵画から、建築、音楽、和歌、文字まで、古今の日本の美に関する講演記録や寄稿文をまとめたものである。著者の高階秀爾氏と言えば、元国立西洋美術館館長、西洋美術の碩学というイメージであったから、「日本人にとって……」とい ...
『睡眠こそ最強の解決策である』は本当らしい
本書『睡眠こそ最強の解決策である』は、さすがに睡眠の重要性を強調し過ぎではないかという感はあるものの、ともかく、睡眠に関する現時点での知見を集大成したような本だ。だんだんと夜眠れなくなってきた今日この頃、何か良い処方箋はないものかと手に取ったのだが、原題 ...
功罪相半ばする驚くべき本『服従の心理』
またくもって、驚くべき本。功罪相半ばする、驚くべき本。 驚きその一は「功」、すなわち本書『服従の心理』が扱っている実験の結果。後に「アイヒマン実験」とも言われた実験で、ごく普通の善良な人々の大多数が、科学者による心理実験を装った服従環境の下、被験者に致 ...
海の中の第二の知性体『イカの心を探る』
動物の中で知性が高いのは、人間も属する霊長類、これを広げると哺乳類、さらに広げると脊椎動物となるが、まるでかけ離れたところに第二の知性体がいる。それが、イカだ。無脊椎動物(他は昆虫やミミズなど)の中、軟体動物門の頭足類に属している。棲んでいる環境も海の中 ...
生活を覆い尽くす小社会『怒りの葡萄』
本書『怒りの葡萄』は、オクラホマの大平原を砂嵐が襲い、耕地は荒野と化してしまう、農民達は「約束の地」であるはずのカリフォルニアの沃野を目指すが、ようやく辿り着いたカリフォルニアでも……という物語。作者スタインベックの代表作の一つである。作中、主人公のトム ...
一万時間が天才を作るのか?『天才!』
本書『天才!』の著者はマルコム・グラッドウェル、本を出せば当たるという超ベストセラー作家だ。なるほど、話の展開は巧みだし、畳みかけるようなエピソードで読者を飽きさせず、納得させてしまう技はさすがというほかない。本書の中でも特に有名になったのは「一万時間の ...
常識を覆すゲノム革命の力『交雑する人類』
本書『交雑する人類』は、ネアンデルタール人のDNA解析にも携わった古代DNA解析の第一人者の手による新たな人類史である。その中心には、これまでの考古学や人類学の定説を覆す成果を出し続けている「ゲノム革命」がある。とにかく、本書を通じて、うるさいくらいに「 ...