哲学,ノンフィクション

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 本書『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』は、まさに「数奇な運命を辿った本」についての本である。その本とは、紀元前一世紀に生きたルクレティウスの手になる、原子論的自然学を説いた『物の本質について』。この本自体が大変な珍本で、近代科学につながる物質や宇宙 ...

哲学

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 最初のころに書いたことがあるが、管理人は他人から本を借りることはしない。特に、友人や知人の方から貸そうとしてくるのを借りるのは禁物だ。興味が持てるかどうか分からない本を無理してでも読まなければならなくなるし、返す時に感想の一つも言わなければならない。義務 ...

文学,ハウツー

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 本書『読んでいない本について堂々と語る方法』は、誤解されそうな題名がついているが、読んでもいない本について知ったかぶりをするとか、読んでいない本について読書感想文を書くとかといった本ではない(それにも使えそうではあるが)。本を読むより自分自身を語ることの ...

歴史,趣味

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 読書は電車の中で捗る。通勤電車の中の15分ですら、なかなか貴重だ。旅行の予定でもあれば、移動時に読む本をあらかじめ仕込んでおく。さらに時間が増える飛行機はなお良しで、管理人は機内配信のビデオなど見たことがない。こういう感覚は当たり前に思えるのだが、当然、 ...

文学,青空文庫

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 本作『平凡』の作者は、言文一致と写実主義で知られる二葉亭四迷である。本作は実際はフィクションなのだが、冒頭で「近頃は自然主義とか云って、何でも作者の経験した愚にも附かぬ事を、聊かも技巧を加えず、有の儘に、だらだらと、牛の涎のように書くのが流行るそうだ。好 ...

スポーツ

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 史上最も速いランナーは誰か、最も強いチェス・プレイヤーは誰か、といったことは、スポーツを初めとする競技でのファンの関心事の一つである。本書『プロ野球ヒーロー 伝説の真実』は、その野球版を扱ったデータ本である。本書には、プロ野球の黎明期からの伝説の選手達に ...

哲学

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 著者が仮に「ポストモダニズム」と呼ぶ哲学がある。著者の説明によれば、啓蒙主義の合理主義的伝統を多少なりともあからさまに拒否すること、経験に照らし合わせての検証とは結びつかない論考、そして認識的相対主義や文化的相対主義を標榜して科学を数ある「物語」、「神話 ...

文学,心理,青空文庫

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 本作『三右衛門の罪』は芥川龍之介の短編。十ページ少々の作品である。それほど有名ではないかも知れないが、一点に絞ったテーマに、実に考えさせられるところがある。梗概を書けば数行で足りるだろうし、知ってしまえば初めから分かっていたような気にもなるのだが、人の心 ...

社会,ノンフィクション

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 本書『謎の独立国家ソマリランド』は、出版された2013年にノンフィクション部門の出版賞を総なめにした超ベストセラー本である。帯にも「三冠制覇!」などと書かれている。そういう本はわざわざ紹介するまでもないのだが、本書はやはりそれに値する。ということで、少し ...

文学

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 管理人が本作『走れメロス』を初めて読んだのは、小学校の国語の教科書だったのではないかと思う。なぜ(太宰の他の作品を差し置いて本作が)教科書に載るかと言えば、信頼の尊さを貴ぶ内容が、国語というよりは道徳の教材として優れているという見立てなのだろう。そういう ...