プロテスタンティズムの倫理と梅岩の石門心学『企業倫理とは何か』
石門心学あるいは心学とは、江戸時代に石田梅岩が創始した、日常生活に密着した実践道徳学である。この心学は、梅岩が商家に奉公していた頃の独学に根ざしていたこともあり、当初は商人の学という趣があったが、後に広く農民や武士にまで影響を及ぼした。本書『企業倫理とは ...
チャプリンから民主主義へのメッセージ『独裁者』
本作『独裁者』は本ではなく映画、チャプリンの凄まじいまでの風刺映画だ。「風刺」を超えて、笑いによる「直接攻撃」という感がある。本作はあまりに有名であるし、批評もし尽くされているが、管理人なりの感想をということで、今回の題材に選んでいる。 本作の舞台は、 ...
ESP実験は科学たり得るか『疑似科学と科学の哲学』
タイトルだけ見ると何の本かと思うが、科学哲学に関する真面目な本だ。科学哲学とは、方法論や存在論といった観点から科学を対象とする哲学。興味深いけれども、非常に多岐・広範囲にわたる問題を扱っていて焦点を絞りづらい。そこで、本書『疑似科学と科学の哲学』は、疑似 ...
利己の努力と幸福三説『努力論』
本書『努力論』は「努力」についての本だ。見出しを拾うと、「運命と人力と」、「着手の処」、「自己の革新」……というもの。実際、著者の露伴は「努力に関することが多いから」このタイトルにしたと言う。しかし、そこでいう「努力」は、今の時代の我々がいう「努力」とは ...
原爆投下を論理で考える『戦争論理学』
戦争に論理はあるのだろうか。戦略や戦術はあるかも知れないが、論理とは縁がなさそうに思える。そういう思い込みがあるから、本書『戦争論理学』のタイトルは目を引く。しかし、戦争という歴史的事実について論理的に議論することはできるし、またすべきでもある。本書は、 ...
ご都合主義の生態系観に異議あり『自然はそんなにヤワじゃない』
以前にレビューした『チェンジング・ブルー』が気候変動についての正統派の一冊だとすれば、本書『自然はそんなにヤワじゃない』は生態系についての異端の一冊だ。「異端」と言っても、荒唐無稽な主張が展開されているわけではない。著者の専門である陸水生態学での成果を踏 ...
専門家と一般人との間の深い溝『専門知は、もういらないのか』
かつては一部の特権階級の独占物であった専門知は今や一般大衆に開かれた、はずであったが、実際にはそうはならなかった。むしろ、専門知や専門家を軽視する風潮が生まれ、専門知が支えるべき民主主義を危機に陥れている。本書『専門知は、もういらないのか』は、そうした実 ...
ビッグデータを超える『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』
ビッグデータが流行りである。世間では、データさえあれば何でもできる、というような風潮がある。しかし、本書『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』は、違うと言う。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う。特に、ある広告を打ったことで ...
シンギュラリティより怖いもの『AIvs.教科書が読めない子どもたち』
本書『AIvs.教科書が読めない子どもたち』の著者は、数学者。AIで東大合格を目指した「東ロボくん」プロジェクトのリーダーにして、読解力調査のためのリーディングスキルテストの産みの親だ。一見すると、AIと読解力はあまり接点がないように見えるが、本書でその ...
版画のオリジナリティとは『広重「東海道五十三次」の秘密』
浮世絵版画「東海道五十三次」と言えば、歌川広重の代表作、自身が京都御所への公式派遣団の一人として東海道を旅した時のスケッチを基に1833年に制作された、というのが定説である。これに対し、本書『広重「東海道五十三次」の秘密』は、驚きの新説を持ち出す。「五十 ...