コンピュータ・シミュレーションで探る最適戦略『つきあい方の科学』
本書『つきあい方の科学』は、一風変わった人間関係、社会関係の本である。ある意味、ゲーム理論の「古典」とも言える。本書を特に有名にしたのが、著者が行った実験と、その結果である。著者は、経済学や心理学など各分野で活躍するゲーム理論の研究者14名を招待し、コン ...
繰り返される『論文捏造』は科学の崩壊なのか
日本でも数年前、STAP細胞にまつわる事件(STAP事件)があった。この時はまさに「劇場型」とも言うべき事件の展開があって世間の注目を集めたが、結局、ES細胞の混入ということで落ち着いた。管理人としては、個々の経緯で腑に落ちないところも残ったが、世間はも ...
異能の天才数学者ラマヌジャン『無限の天才』
どんな分野であれ、破天荒の天才というのは、夢を託したくなる存在だ。本書『無限の天才』で描かれるインドの天才数学者ラマヌジャンは、まさにそのような人物だ。ただの天才とか、超天才とかいうのとは次元が異なる、常人の理解を絶するような存在なのだ。数学の天才という ...
ESP実験は科学たり得るか『疑似科学と科学の哲学』
タイトルだけ見ると何の本かと思うが、科学哲学に関する真面目な本だ。科学哲学とは、方法論や存在論といった観点から科学を対象とする哲学。興味深いけれども、非常に多岐・広範囲にわたる問題を扱っていて焦点を絞りづらい。そこで、本書『疑似科学と科学の哲学』は、疑似 ...
原爆投下を論理で考える『戦争論理学』
戦争に論理はあるのだろうか。戦略や戦術はあるかも知れないが、論理とは縁がなさそうに思える。そういう思い込みがあるから、本書『戦争論理学』のタイトルは目を引く。しかし、戦争という歴史的事実について論理的に議論することはできるし、またすべきでもある。本書は、 ...
ご都合主義の生態系観に異議あり『自然はそんなにヤワじゃない』
以前にレビューした『チェンジング・ブルー』が気候変動についての正統派の一冊だとすれば、本書『自然はそんなにヤワじゃない』は生態系についての異端の一冊だ。「異端」と言っても、荒唐無稽な主張が展開されているわけではない。著者の専門である陸水生態学での成果を踏 ...
ビッグデータを超える『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』
ビッグデータが流行りである。世間では、データさえあれば何でもできる、というような風潮がある。しかし、本書『データ分析の力 因果関係に迫る思考法』は、違うと言う。データの扱い、分析、解釈においては、人間の判断が重要な役割を担う。特に、ある広告を打ったことで ...
シンギュラリティより怖いもの『AIvs.教科書が読めない子どもたち』
本書『AIvs.教科書が読めない子どもたち』の著者は、数学者。AIで東大合格を目指した「東ロボくん」プロジェクトのリーダーにして、読解力調査のためのリーディングスキルテストの産みの親だ。一見すると、AIと読解力はあまり接点がないように見えるが、本書でその ...
進化的ミスマッチが病を引き起こす『人体600万年史』
人間の人間たる所以は、発達した脳による高度の精神能力にある、というのは確かにそのとおりだろう。本書『人体600万年史』も、人間を「きわめて文化的な種」と位置づけている。しかし、同時に「筋肉に対する脳の勝利という見方だけで現生人類の進化を捉えるのは不正確で ...
気候変動のロシアン・ルーレット『チェンジング・ブルー』
本書『チェンジング・ブルー』は、気候変動について科学の立場から考察した正統派の一冊だ。帯に「第一線の研究者による、信頼ですべき正確な解説書。しかし、これは同時に、第一級の科学ノンフィクションだ」とある。帯はプロモーション用であって、本の内容を正しく表して ...