研究と治療の長く険しい歴史『病の皇帝「がん」に挑む』
本書『病の皇帝「がん」に挑む』は、病の皇帝すなわち癌の研究と治療の歴史を追ったもの。本書の存在は出版当時から知っていたのだが、しばらくは手に取らなかった。というのは、珍しくかつ幸運なことに、管理人の家系には癌で亡くなった者は(知る限り)いないからだ。何と ...
繰り返される『論文捏造』は科学の崩壊なのか
日本でも数年前、STAP細胞にまつわる事件(STAP事件)があった。この時はまさに「劇場型」とも言うべき事件の展開があって世間の注目を集めたが、結局、ES細胞の混入ということで落ち着いた。管理人としては、個々の経緯で腑に落ちないところも残ったが、世間はも ...
ESP実験は科学たり得るか『疑似科学と科学の哲学』
タイトルだけ見ると何の本かと思うが、科学哲学に関する真面目な本だ。科学哲学とは、方法論や存在論といった観点から科学を対象とする哲学。興味深いけれども、非常に多岐・広範囲にわたる問題を扱っていて焦点を絞りづらい。そこで、本書『疑似科学と科学の哲学』は、疑似 ...
ご都合主義の生態系観に異議あり『自然はそんなにヤワじゃない』
以前にレビューした『チェンジング・ブルー』が気候変動についての正統派の一冊だとすれば、本書『自然はそんなにヤワじゃない』は生態系についての異端の一冊だ。「異端」と言っても、荒唐無稽な主張が展開されているわけではない。著者の専門である陸水生態学での成果を踏 ...
進化的ミスマッチが病を引き起こす『人体600万年史』
人間の人間たる所以は、発達した脳による高度の精神能力にある、というのは確かにそのとおりだろう。本書『人体600万年史』も、人間を「きわめて文化的な種」と位置づけている。しかし、同時に「筋肉に対する脳の勝利という見方だけで現生人類の進化を捉えるのは不正確で ...
気候変動のロシアン・ルーレット『チェンジング・ブルー』
本書『チェンジング・ブルー』は、気候変動について科学の立場から考察した正統派の一冊だ。帯に「第一線の研究者による、信頼ですべき正確な解説書。しかし、これは同時に、第一級の科学ノンフィクションだ」とある。帯はプロモーション用であって、本の内容を正しく表して ...
なぜ西洋で科学で発展したのか『新しい科学論』
ルネサンス期以降、ヨーロッパで近代自然科学が発展した、というのは一つの常識である。それ以前、古代中国やアラビアでも相当な科学(あるいは技術)が発達したことはあったが、その地で現代の科学につながるものとはならなかった。 では、なぜヨーロッパだったのか。本 ...
『睡眠こそ最強の解決策である』は本当らしい
本書『睡眠こそ最強の解決策である』は、さすがに睡眠の重要性を強調し過ぎではないかという感はあるものの、ともかく、睡眠に関する現時点での知見を集大成したような本だ。だんだんと夜眠れなくなってきた今日この頃、何か良い処方箋はないものかと手に取ったのだが、原題 ...
海の中の第二の知性体『イカの心を探る』
動物の中で知性が高いのは、人間も属する霊長類、これを広げると哺乳類、さらに広げると脊椎動物となるが、まるでかけ離れたところに第二の知性体がいる。それが、イカだ。無脊椎動物(他は昆虫やミミズなど)の中、軟体動物門の頭足類に属している。棲んでいる環境も海の中 ...
常識を覆すゲノム革命の力『交雑する人類』
本書『交雑する人類』は、ネアンデルタール人のDNA解析にも携わった古代DNA解析の第一人者の手による新たな人類史である。その中心には、これまでの考古学や人類学の定説を覆す成果を出し続けている「ゲノム革命」がある。とにかく、本書を通じて、うるさいくらいに「 ...