理想の電子書籍デバイスとは

電子書籍

 タイトルは「理想の」としたが、管理人は電子書籍のデバイスにはそれほど多くを望んでいない。なぜなら、紙媒体の場合には、物理的な性質がすべて固定されてしまっているにも関わらず、それほど困らないからだ。だから、「長時間読書しても目が疲れない」といったことはあまり気にせず、電子デバイスとして水準以上のレベルにあれば良しとしたい。
 今回は、非常に現実路線で、「これだけあれば十分」しかし「これだけは欠かせない」というのを考えたい。ただ、現状ではこれもそう簡単ではない。そういう意味で、「理想の」ということになってしまうのだが。

デバイスのサイズ・速度

 まずは、デバイスそのもの。サイズは8インチが望ましい。これは、サイズ的にも重量的にも片手で持てること、文庫本程度の文字数は表示できること、を両立できるからだ。メーカーによっては、狭ベゼルで8.4インチというのがあり、これならなお良い。読書用には、スマホでは小さすぎるし、流行りの10インチでは大きすぎる。人によっては(手が小さい、小さい文字を気にしない)、7インチの選択肢もあるだろう。
 そして、意外に重要なのが、ハイスペックで動作が早いことである。ゲームなどと違って、電子書籍を読むだけなら、高いスペックは要らないと考えがちだが、それは間違っている。電子書籍を読んでいると、ページの切り替えや辞書の参照など、それなりに頻繁な操作が入る。そこでコンマ1秒でも遅れると、いちいちストレスを感じてしまう。電子書籍のいろいろな機能を使い倒そうというのなら、なおさら必須だと思う。
 以上の機能を持ったものを探すなら、電子書籍の専用デバイスより、普通のタブレット端末の方が良い。専用デバイスはスペックを重視しておらず、条件を満たさないからだ。ところが、一般のタブレット端末でも選択肢は限られる。iPadは十分合格点だが値が張る。Android系では8インチそのものが少なくなっているうえ、ハイスペックのものがほとんどない。ファーフェイのハイエンドのタブレットが日本向けに販売されなくなってから、どうしてもスペック不足だ。

画面操作と移動

 電子書籍では画面操作が重要だ。ただ、この点は唯一、電子書籍が紙の本に劣るところではないだろうか。紙の本では、ほぼやりたい放題である。全体や一部をざっとブラウジングしたり、付箋をつけたりモノを挟んだり。これらは、電子書籍でもできないことはないが、紙の本の5~6割の出来の劣化コピーである。残念ながら、この点はどうしようもない。よほど慣れれば不便は緩和されるだろうが、解消はされないだろう。
 ただ、たとえ劣化コピーであっても、テキスト内での位置の移動については、最大限の工夫で縦横に遷移できる機能が欲しい。目次、ハイライト、メモ、しおり、ページ移動、あたりの言わば基本機能がこれに相当するが、一覧の表示のさせ方や履歴の取り方など、工夫の余地が大きいように思う。
 ところで、一部のKindleには、ブラウザの「戻るボタン」に相当する機能がない(別の方法で戻ることはできるが)。以前はあったはずだが、いつの間にか仕様変更で消えてしまったようだ。Koboにはあるので、何も難しいことはないはずで、不思議かつ不満なところである。

フォントの種類・サイズ

 フォントの切り替えも、重要な基本機能だ。フォントの種類についても、簡単にフォント・ファイルの追加ができるくらいの自由度が欲しいところだが、これは必須ではない。圧倒的に重要なのは、サイズである。管理人はまだ大丈夫だが、老眼が進んでくるともはや紙の本は見えず、(老眼鏡や何とかルーペでも使わない限り)フォント調節できる電子書籍だけが頼り、ということになりかねないからだ。
 ところが、これも一部のKindleには問題がある。フォントが小さい範囲では非常に細かく調整できるにも関わらず、ちょうど「もう一息」というところで、使い物にならないほどフォントが巨大化してしまうのだ。いわば、肝心のサイズのところにフォントの空白地帯ができてしまっている。この点も、Koboではそのようなことはないので、なぜKindleではこういう基本的なところがおろそかになっているのか不思議である。フォントサイズは、それこそ5ptから50ptまで無段階の変更ができても良いくらいだ。

内蔵辞書機能

 ワンタッチで辞書が使えることは、電子書籍での大きな利点である。この辞書機能のおかげで、英語の場合、電子書籍でなければ読む気がしないくらいだ。日本語の場合でも、古典系の(古い言葉や難しい言葉が頻出する)青空文庫を読む時に重宝する。ただし、読書の流れを削がないようにするため、可能な限りワンタップで意味が分かるのが望ましい。ところが、である。
 これは辞書のもともとの作りに依存することだからあまり文句も言えないが、英語であれば「conscientiously ⇒ conscientious」、日本語であれば「応作 ⇒ 応化(おうげ)」といった形でしか表示されない場合がある。いったん辞書本体に移動してリンクを辿れば良いのだが、計3タップになる。リンクすら貼られていない場合は、一から再検索するしかないので実用に耐えない。本来であれば、ポップアップの中で追加操作まで完結させたいくらいなのだが。
 管理人のメイン使いなのでKindleに厳しく当たってしまったが、良い点もあった(過去形)。機種限定のようであったがある時期、辞書のポップアップ内でスクロールできる機能が付加されたことがある。これはワンタップの観点からは大変に便利な機能だったのだが、特段のアナウンスもないまま機能の追加/削除を繰り返した挙句、消えてしまった。「ABテスト」のようなことだったのだろうか。

 以上のとおり、大変つましい「理想」なのだが、現状ではこれでも全滅である。これで満足しているユーザーがどれだけいるのだろうか。非常にもどかしい感じがする。

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